「コンサルタントに依頼したいけど、費用がいくらかかるか不安…」
そんな悩みをお持ちの経営者・担当者の方へ。この記事では、コンサルタント費用の仕組みや相場、選び方のポイントをわかりやすく解説します。
コンサルティングは、企業の課題解決や成長を強力にサポートするサービスです。しかし、費用はコンサルタントの専門性やプロジェクト内容によって大きく異なります。
この記事を読めば、コンサルタント費用の決定要因を理解し、自社に最適なコンサルタント会社を予算内で選ぶことができるでしょう。
- コンサル会社へ依頼する際の費用が決まる要素は「コンサルタント自体の単価」「期間」「人数」「追加費用」の4つで決まることが多い
- 費用の相場としては、どの領域のコンサルタントに依頼するか、どんな規模感の会社に依頼するかによって異なる。選びやすくするポイントとしては、どんな依頼をしたいかをまずは明確にすることで決めやすくなる。
- また、依頼する際には事前にコンサルタントに依頼するメリット・デメリットは抑えておくべき。

この記事の監修者
保知 一也
Acrosstudio株式会社 代表
KPMGコンサルティングを経て、Acrosstudio株式会社を創業。2023年10月に、コンサルティング事業とフリーコンサルへの案件仲介事業を立ち上げ、生成AI領域への事業を拡大。2025年1月時点で正社員数27名・今期売上6億円着地予定。

この記事の執筆者
Acrosstudio株式会社
コンサル総研編集部
Acrosstudio株式会社所属の現役コンサルタントがコンサル総研編集部として記事の執筆・編集を行う。これまでのコンサルでの実務経験を元に読者の皆様へコンサル業界のリアルを発信することを心がけている。
コンサルタント費用を決める4つの要素
コンサルタントへの依頼費用は主に下記の4つの要素によって決まります。
コンサルタント自体の単価
上記の要素をそれぞれしっかりと理解することで、見積もりの妥当性を判断しやすくなるでしょう。そのため依頼を検討している人は4つの要素を全てチェックしてください。
コンサルタント費用の中心となるのが、コンサルタントの方が稼働する単価です。これはコンサルタントの専門性や経験、業界の需要によって大きく変動します。
例えば大手コンサルティング会社の場合は経験や実績が豊富であることが多いため、1時間あたり数万円以上の高単価となるケースも珍しくありません。
また、業界特化型のコンサルタントは専門性の高さから、単価が上がる傾向があります。独立系のコンサルタントや若手のコンサルタントの方は、比較的安価に利用できる場合もあるでしょう。
どのような課題を解決したいのかを明確にし、それに適したコンサルタントを選ぶことが費用の最適化につながります。
期間
コンサルティングを受ける期間も費用に大きな影響を与えます。契約期間が長くなるほど、単価が下がる傾向があります。
短期間のプロジェクト型コンサルティングの場合は、1回あたりの料金が高くなる傾向があるでしょう。
スポットコンサルティングや単発のアドバイス型の契約では、短い期間で成果を出す必要があるため費用が割高になることも。
長期間の契約を結ぶ場合は、月額固定料金や時間単価の割引が適用されることがあります。
長期的な関係を築くことで、単価を抑えながら継続的な支援を受けることも可能です。
人数
コンサルタントがプロジェクトに何人参加するかも、費用を左右する重要な要素です。
プロジェクトに関わるコンサルタントの人数が増えるほど、費用は高くなります。
1人のコンサルタントが担当する場合と複数名のチーム体制で進める場合では、当然ながら後者のほうが費用は高額になるでしょう。
戦略立案などの大規模なプロジェクトでは専門分野ごとに異なるコンサルタントが参加することが一般的なため、人数が増えるほど費用も比例して増加します。
複数名での対応は、より迅速かつ効果的な支援が期待できる点でメリットがあるでしょう。
追加費用
コンサルティング料金に含まれない追加費用にも注意が必要です。
交通費、宿泊費、資料作成費など、コンサルティング料金以外にかかる費用も考慮する必要があります。
コンサルタントの指示に基づいて導入するツールやシステムの費用も別途必要になる場合も。
契約前に、「どこまでが料金に含まれるのか」を明確にしておくことが重要です。
不明点があれば事前に確認し、追加費用の発生を見越して予算を立てておきましょう。
【業界別】コンサルタント費用相場
コンサルタントの業界は、主に下記の6つです。
コンサルタントの料金は、担当する業界によっても大きく異なります。
自分がどの業界でコンサルティングを受けるか目星をつけた上で、確認してみましょう。
戦略型コンサルタント
戦略型コンサルタントは、企業の経営戦略や事業戦略を策定する専門家です。
特に大手コンサルティング会社が高い料金を設定しており、1時間あたり5万円〜10万円程度が相場になります。
プロジェクト単位では数百万円から数千万円になることも珍しくありません。
これだけ高額な費用がかかる理由はコンサルタントの高度な分析力や専門知識、そして経営層への直接的な提案力にあります。
特に市場分析や競合調査などを伴う大規模な案件では、料金がさらに高くなる傾向があるでしょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業のITシステムの導入や改善を支援する役割を担います。
この分野の相場は、1時間あたり2万円〜5万円程度です。
ITシステムの規模や複雑さによっても料金は大きく異なります。
特にクラウドサービスの導入やセキュリティ対策など、専門性の高い分野では料金が割増になる場合も。
システム開発や運用支援がセットになった場合は、プロジェクト全体で数百万円〜数千万円の費用がかかるケースもあるでしょう。
ファイナンシャルコンサルタント
ファイナンシャルコンサルタントは、資産運用や財務戦略をサポートする専門家です。
この分野では、1時間あたり1万円〜3万円程度が一般的な料金相場となっています。
特定の案件において成功報酬型の契約が適用されることも。
例えば資金調達やM&A案件では、契約額の数パーセントが報酬として支払われるケースが見られます。
費用は比較的安価ですが、高い専門知識が求められるため慎重な選定が必要です。
人事コンサルタント
人事コンサルタントは、採用や教育、組織改革などの人事課題に取り組む専門家です。
この分野の料金は、1時間あたり1万5千円〜3万円程度が一般的です。プロジェクト全体の契約では数十万円から数百万円となる場合が多いでしょう。
特に人材評価制度の設計や組織診断といった高度なコンサルティングでは、料金が高くなる傾向があります。
労務関連の相談のみであれば、比較的安価に利用することも可能です。
労務コンサルタント
労務コンサルタントは、労働基準法の遵守や働き方改革に関連するアドバイスを提供する専門家です。
相場としては1時間あたり1万円〜2万円程度が多く、特に労働問題を抱える企業において需要が高まっています。
具体的には、就業規則の見直しや従業員の労働環境改善に関する提案が主な業務です。
顧問契約を結ぶ場合は月額10万円〜30万円ほどが目安となりますが、スポット的な相談であればさらに低価格で対応してもらえる場合もあります。
財務・会計コンサルタント
財務・会計コンサルタントは、企業の資金繰りや経営分析、会計処理の最適化を支援する専門家です。
この分野の相場は1時間あたり1万5千円〜3万円程度となっています。
例えば経営計画の作成支援や財務リスク管理のアドバイス、さらには税務対応のサポートなどが主要な業務です。
特定のプロジェクト単位で契約する場合、100万円〜500万円程度の費用がかかることもあります。
グローバル展開している企業では国際会計基準(IFRS)に対応するためのコンサルティングも行われるため、料金が高額になるケースも。
【企業規模別】コンサルタント費用相場
コンサルタントの企業規模は、主に下記の3つに分けられます。
コンサルティング会社の規模によっても、費用は異なります。
- 大手コンサルティング会社: 豊富な実績と専門性を有し、高額な費用設定が一般的です。
- 中小規模コンサルティング会社: 比較的低コストで、中小企業向けのサービスが充実しています。
- 独立系コンサルティング会社: 費用を抑えたい場合に最適で、柔軟な対応が期待できます。
必ずしも費用が高ければいいという訳ではないので依頼したい内容に適した料金なのか、想定している予算内なのかを確認しましょう。
大手コンサルティング会社
大手コンサルティング会社の特徴は、豊富なリソースと実績、そして専門性の高いコンサルタントを多数抱えている点です。
代表的な企業にはマッキンゼーやBCG(ボストンコンサルティンググループ)などがあります。
大手企業のコンサルタント費用は非常に高額で、1時間あたり5万円〜10万円が一般的です。
プロジェクト単位では1,000万円を超える場合もあり、主に大企業やグローバル企業をターゲットにしています。
費用は高いものの、その分質の高いサービスを受けられる点が魅力です。
小規模コンサルティング会社
中小規模のコンサルティング会社は、比較的低コストで利用できる点が特徴です。
料金相場は1時間あたり1万円〜3万円程度で、プロジェクト単位では数十万円から数百万円となるケースが多いでしょう。
特に地域密着型のコンサルティング会社では、中小企業向けのサービスが充実しており、現場に密着した具体的なアドバイスを受けることができます。
大手にはない柔軟性や迅速な対応を期待できる点がメリットです。
独立系コンサルティング会社
独立系のコンサルティング会社や個人コンサルタントは、費用を抑えたい場合におすすめです。
料金相場は1時間あたり5,000円〜2万円程度で、スポットコンサルや短期プロジェクトに適しています。
専門性や経験値は個人差が大きいため、依頼する前に過去の実績や得意分野をしっかり確認することが重要。
独立系の場合は契約内容や、費用の交渉が柔軟に行える点がメリットです。
【契約形態別】コンサルタント費用相場
ここでは主に4つの契約形態ごとの特徴と、費用感について解説します。
依頼形式を理解した上で、想定している予算にあった契約形態を選択しましょう。
顧問契約
顧問契約はコンサルタントに定期的なアドバイスを依頼する形式で、長期的なサポートを受けられる点が特徴です。
月額費用は10万円〜50万円程度が一般的です。
特に経営層の相談役や法務・財務関連のアドバイザーとして利用されることが多く、必要に応じて電話やメールでの相談も可能。
定期的な支援を受けたい企業にとって、費用対効果の高い選択肢といえます。
時間契約・スポットコンサル型
時間契約やスポットコンサル型は、1回限りの相談や短期間のプロジェクトに適しています。
料金は1時間あたり1万円〜5万円程度で、コンサルタントの専門性や業界によって異なるでしょう。
特に新規事業の立ち上げや一時的な課題解決に向いており、必要なタイミングで柔軟に活用できる点が魅力。
コストを抑えつつ専門的な知見を得たい場合に有効です。
成果報酬型
成果報酬型は、具体的な成果が得られた場合にのみ料金が発生する契約形態です。
この形式では、成果に応じて契約額の10%〜30%程度を報酬として支払うのが一般的。
例えば、売上アップやコスト削減など、明確なKPI(重要業績評価指標)が設定されるプロジェクトに適しているでしょう。
契約時に達成目標の基準を明確にしておく必要があります。
プロジェクト型
プロジェクト型契約は、特定の期間内で完了するプロジェクトに対して支払われる形式です。
料金は100万円〜1,000万円以上と幅広く、プロジェクトの規模や内容によって異なるでしょう。
例えば、新規市場への参入戦略の立案や大規模なITシステム導入など、明確なゴールが設定されるプロジェクトで利用されます。
この形式では、契約内容を事前に詳細に決めておくことが重要です。
コンサルタントの費用に差が出る5つの仕組み
コンサルタント費用に差が出る理由として、主に下記5つの仕組みが挙げられます
コンサルタント費用に差が出る理由を理解しておけば、費用に対する不安を解消できます。
コンサルタント会社の実績
実績豊富な会社ほど、料金が高くなる傾向があります。
特に大手コンサルティング会社や海外での実績が多い企業では、そのブランド力が料金に反映されやすいのです。
実績の少ない会社や個人コンサルタントでは比較的低価格でサービスを提供しています。
安いからといって品質が低いわけではなく、ニーズに合ったサービスを見極めることが重要です。
コンサルタントの報酬単価
専門性や経験値によって、報酬単価は大きく異なります。
例えばハイレベルな戦略立案やグローバル企業の経営支援を行うトップクラスのコンサルタントは、1時間あたり5万円〜10万円以上と高額です。
比較的経験の浅い若手コンサルタントや独立系コンサルタントの場合、1時間あたり1万円〜2万円と抑えられることもあります。
同じ会社内でも担当するコンサルタントのスキルやランクによって費用が変動することも。
例えばジュニアコンサルタントが主に担当する場合と、シニアコンサルタントやパートナーが直接プロジェクトに関与する場合では大きな料金差が生じます。
契約前に担当コンサルタントの経歴やスキルについて確認することが重要です。
コンサルティングの契約期間
コンサルティングの契約期間も費用に大きな影響を与える要因の1つです。
短期契約は単価が高く、長期契約は単価が低くなる傾向があります。
短期間の契約、特に1〜3ヶ月程度のスポットコンサルティングの場合に単価が高く設定されることが一般的。
短期間での成果を求められるため、コンサルタントにかかる負荷が高くなることが理由です。
6ヶ月〜1年以上の長期契約を結ぶ場合、月額料金が抑えられることが多いでしょう。
長期間の契約は企業にとっても安定的に支援を受けられるメリットがあるため、コンサルティング会社側も割引を提示するケースが少なくありません。
コンサルタントの規模・人数
プロジェクトに関わる人数が増えるほど、費用は高くなるため、プロジェクトに携わるコンサルタントの人数も、費用を左右する重要なポイントです。
例えば1名のみの独立系コンサルタントに依頼する場合と、10名以上のチームで対応する大規模プロジェクトでは総額に大きな差が出ます。
チームで進める場合は、それぞれのメンバーのスキルや役割も考慮する必要があるでしょう。
例えば戦略立案を担当するシニアコンサルタントに加えてデータ分析を行うアナリストなどが加わる場合、総額が高くなる傾向があります。
人数が多いほど進行速度が速くなるメリットはあるものの、予算と効果のバランスを見極めることが大切です。
プロジェクトの難易度
プロジェクトの難易度もコンサルタント費用に大きな影響を与えます。
例えば新規市場への参入や競合企業に対する差別化戦略の立案など、複雑かつ専門性が求められるプロジェクトでは、料金が高額になることが一般的です。
通常より多くのリソースが必要となるため、コンサルティング会社としても追加の費用を見込む必要があるでしょう。
IT導入支援やグローバル市場でのビジネス展開など、専門的な知識や経験が必要な場合は費用が高くなる傾向があります。
契約前にプロジェクトの範囲や期待される成果を明確にしておくことで、不要なコストを抑えることが可能です。
自社にあったコンサル会社を選ぶポイント
自社に最適なコンサルティング会社を選ぶには、下記のポイントを押さえておくことが重要です。
- 自社が抱える課題を明確にする
- コンサルティング会社の実績や評判を確認する
- 費用対効果を考慮する
まず1つ目に経営戦略、人事制度、ITシステムなど、どの分野でコンサルティングが必要なのか自社の課題を明確にする必要があります。
そして、自社と同規模・同業種の企業への支援実績があるか、評判はどうかなどコンサルティング会社の実績や評判を確認します。
また、費用に見合った成果が得られるか、複数社から見積もりを取り費用対効果を考慮して最終的にどこに依頼するかを決めます。
コンサルタントを利用するメリット
コンサルタントを利用することには、下記のようなメリットがあります。
- 外部の専門家の視点を取り入れ、客観的な分析が可能になる。
- 高度な専門知識やノウハウを活用できる
- 社内リソース不足を補い、業務効率化を図れる。
外部の専門家の視点を取り入れ、客観的な分析が可能になることで、自社だけでは気づけなかった課題や改善点を発見できます。
特に第三者の立場から分析を行うことで、社内の偏った考えや固定観念を打破することができるでしょう。
高度な専門知識や、ノウハウを活用できることもメリットの1つです。
例えば最新のIT技術・マーケティング手法・組織改革の手順など自社では蓄積できない知見を得ることで、迅速かつ効率的に問題を解決することができます。
社内リソース不足を補い、業務効率化を図れる。も、大きな利点でしょう。
中小企業では専門人材や時間が不足しているケースが多いため、コンサルタントを活用することで業務負担の軽減が目指せます。
社内リソースを他の重要業務に集中させることも、可能になるでしょう。
コンサルタントを利用するデメリット
コンサルタントを利用する際には、下記のようなデメリットも存在します。
メリットに加え、デメリットも理解した上で契約を検討しましょう。
- コストが高額になりやすい
- 社内への外部の人間の導入に抵抗がある場合がある
- 成果が保証されない
まず第一にコストが高額になりやすいことが、デメリットとして挙げられます。
特に大手コンサルティング会社や長期間の契約では多額の費用が必要になるため、事前に十分な予算計画を立てることが必要です。
また社内への外部の人間の導入に抵抗がある場合もあるでしょう。
従業員の間で「外部に頼りすぎている」という懸念が生じる場合があるため、コンサルタント導入の目的や期待される成果を社内で共有して理解を得ることが重要です。
成果が保証されない点も、デメリットの1つ。
コンサルタントは提案や支援を行う立場であり、最終的な実行責任は依頼する企業側にあります。
契約前に具体的な目標設定や進捗確認の仕組みを明確にしておくことが重要です。
費用と成果のバランスを見極めることが重要!
コンサルタントを利用する際には、費用と成果のバランスを慎重に見極めることが重要です。
料金が高ければ必ずしも良い成果が得られるわけではなく、逆に安価なサービスが自社の課題に対応できるとは限りません。
まずは自社の課題や目標を明確にし、それに適した専門分野を持つコンサルタントを選ぶことが大切です。
契約前には複数のコンサルティング会社から見積もりを取得し、内容を比較検討することで、最適な選択が可能になります。
費用対効果を意識しながら、適切なタイミングで必要な支援を受けることが、自社の成長に繋がる最良の方法といえるでしょう。
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